騎士団長殺し 村上春樹

免色渉が、副主人公のような小説。今までの村上春樹作品にはこういう立ち位置の登場人物はいなかったんじゃないかなぁ。

主人公と対比的に描かれている。

能力があるとか、お金を持っているとか、そういうことは幸せを保証しない。能力的に色々な可能性を持っていても、金銭的に色々な選択肢を取りえても、秋川まりえを手にいれることは出来ない。
自分の娘か、そうでないか、物事を確定させることを恐れる生きかただ。
失敗しない人生を選ぶ人の最高峰が、免色渉だと思った。 

それに対して主人公は、自分の娘じゃないかもしれない存在を自分の娘だと信じて生きることを選んだ。
普通ではあり得ない出来事も、信じて前進することが出来る。ただ受け入れるのではなく、主体的に信じる主人公は、これまでの作品とは違うかもしれない。