騎士団長殺し 村上春樹

免色渉が、副主人公のような小説。今までの村上春樹作品にはこういう立ち位置の登場人物はいなかったんじゃないかなぁ。

主人公と対比的に描かれている。

能力があるとか、お金を持っているとか、そういうことは幸せを保証しない。能力的に色々な可能性を持っていても、金銭的に色々な選択肢を取りえても、秋川まりえを手にいれることは出来ない。
自分の娘か、そうでないか、物事を確定させることを恐れる生きかただ。
失敗しない人生を選ぶ人の最高峰が、免色渉だと思った。 

それに対して主人公は、自分の娘じゃないかもしれない存在を自分の娘だと信じて生きることを選んだ。
普通ではあり得ない出来事も、信じて前進することが出来る。ただ受け入れるのではなく、主体的に信じる主人公は、これまでの作品とは違うかもしれない。

更正について【為末ブログリアクション記事】

為末大さんのブログ記事を要約して、ブログをきっかけに考えたことを記録する。
元記事はコチラ
http://tamesue.jp/blog/archives/think/20170111

【要約開始】
少女による殺人事件での、精神鑑定による無罪主張を受けて、更正の可能性について考えている。
欲求、分別、行動のどこを変えることを更正と呼ぶのか?教育によってどこまで変えることが出来るのか?
本当に更正が必要な人(常識を共有できない人:宇宙人)こそ、更正が不可能な対象なのではないだろうか。
【要約終わり】

為末さんは欲求、分別、行動と呼んだけど、僕は欲望、価値観、行動と呼びたい。
で、価値観を変えることは出来ても、人の欲望を変えることは出来ないと考えている。というより、「人には(ある時期以降)変えられない部分が出来てしまうと考えている。そして、その変えられない部分のことを欲望と呼んでる。」といった方がいいかも。

僕には幸運にもそんな欲望はないけど、人を殺したいという欲望を抱いてしまったら、それから離れることは難しいだろうし、どんなに命じられても、人を殺したいという欲望を抱くことも難しいと思う。

病気、というラベルは「普通」の社会から病人を排除する時に使われるラベルで、病気は「多様性」と反する概念だと思う。

不治の病を抱えた人を、どのように受け入れるのか(または排除するのか)?
更正の問題はそのことが問われている。多様性という言葉は簡単だけど、実際の社会に応用すると本当に難しい。

第10回 コルク佐渡島、note加藤のコンテンツ会議

マンガ家と読者の新しい繋がりを作ろうとしている会社コルクの代表 佐渡島さんと、個人が作品を発表・課金出来る仕組みを作るnoteの代表 加藤さんが週一でオススメ作品を紹介して、pv数勝負する企画の第10回

未来の消費はどうなるのか?|佐渡島庸平|note

アダルトVRと最初のiPhoneの共通点。10年という時間。|加藤貞顕|note

 

 今回は佐渡島さんの勝ち!!

佐渡島さんのいっていることの方が、自分にとっては面白かった。でも、両方ともちょっと前より書きぶりに気合が入ってないように見えるなぁ。。少し残念。

 

佐渡島さん評】

未来のことを知るために、よく似た過去を探し、それについて調べる。過去から未来を類推する。その姿勢が自分がとても好きなタイプの考え方なので、(そして、紹介されている本がとてもマニアックで魅力的なので!!)こちらを支持します。

江戸時代=シェアリングエコノミー

現代=(貨幣による)交換社会

未来=シェアリングエコノミー

ってラベルを貼ることで未来予想を始めるわけだけど、この見立てをすること、この見立てに基づいて適切な本を選ぶこと。どちらもすごく知的に高度な操作だなぁとおもいました。(これをやっているのは佐渡島さんの先輩だけど笑)

佐渡島さんが、これからの価値になると考えている「遊びの場の提供」と、遊びを面白くするものとしてのコミュニティ。なぜそう考えるのか、についてもう少し踏み込んだお話を聞きたかったなぁ。

コルクという会社が社会に提供するマンガ作品(およびそれを取り巻くコミュニティ)が、ただの消費されるエンタメとしてではなく、遊びの場になるように意識しているんだということはおぼろげながら理解できる気がする。

 

【加藤さん評】

10年経てば、環境が変わる。そのことを色々な実例を示しながら説明してくれた。改めて10年前のことを考えないと、10年という時間の重みを感じることは難しい。

ちゃんとアダルトVRを自分で試すところが、加藤さんの凄いところだなぁと感じた。カタカナで言えばアーリーアダプターとかっていう言い方も出来るんだと思うけど。本当に凄いのはそこじゃない。「体験していないことを語ってしまったときに、きちんと体験する。」それは、「自分の言うことにはきちんと責任を持つ。自分で体験したことから語る。」という姿勢よりも軽やかで、今の時代にあった姿勢じゃないかなぁ。

自分が何かを言ったときに、そこにうそがないか内省し、うそを消す。

その誠実さこそが、noteというサービスを愛されるサービスにする要因だと思った。

アスリートのプロ化とはなにか【為末ブログリアクション記事】

為末さんの考えたことを、自分の言葉で考え直す記事。
元記事はコチラ

アスリートのプロ化とはなにか | 為末大・侍オフィシャルサイト

 

為末ブログ【要約】

アマチュア競技(五輪系)ではプロとアマの線引きが曖昧。分かり易い区別の方法として、雇用形態がある(前提として日本における企業スポーツ制度)。
 アマチュア競技の選手がプロ化すると、マネジメント事務所に所属することになり、事務所の方針に合わせて、(所属企業の制約に囚われない)個人の自由な活動を行えるようになる。為末さんはプロ化に賛成。

【要約終わり】

SMAP問題では、事務所の一部のエースが残り多数を支えるという芸能界の構図が浮きぼりになった。SMAPのメンバーはサラリーマンで無いように見えてサラリーマンだった(脱サラを認められなかった)。

アマチュア競技では、一部の有名選手が残りを支えているわけでもない。所属企業から個人としてお金を得る代わりに制約も受けていただけで、個人の判断で独立(プロ化)出来るっていうのはアマチュア競技界のとても健全なところだと思う。

何かに守られているっていうことは、自分の自由を失っているっていうことだ。ということを改めて考えさせられた。企業に所属すれば、安定は得られるけれど、自由を失ってしまう。自分が失っている自由について、もっと真剣に考えた方がいい時期かもしれない。と、自分に対して思った。

為末さんが考えている”良い個人”は、自分で考えて(考える過程で、何かを「諦める」ことの重要性を為末さんはいつも言っている)自分の行動を決める個人。プロ化する、という決断をすること自体が素晴らしいし、プロ化によって自分で取りうる行動の選択肢が増えることも素晴らしい。

第4回 コルク佐渡島、note加藤のコンテンツ会議

マンガ家と読者の新しい繋がりを作ろうとしている会社コルクの代表 佐渡島さんと、個人が作品を発表・課金出来る仕組みを作るnoteの代表 加藤さんが週一でオススメ作品を紹介して、pv数勝負する企画の第4回

 

僕が楽しみにしているUMAたち!!|佐渡島庸平|note

オタクは人の心がわからない|加藤貞顕|note

 

今回の佐渡島さんの投稿は、宣伝臭くて嫌になっちゃうので、加藤さんの勝ち!

宣伝臭さが苦手なのは自分の弱点なんじゃないかとも思いつつある。だって、自分が佐渡島さんの立場に立ったら、こう書くしかないじゃないか!。

 

 【佐渡島さん評】

「あなたにはもっと良いものが書ける!」っていう3人への期待をかけるメッセージであると同時に、読者に対する3人の宣伝でもある。そんな宣伝臭さが鼻についちゃって評価したくないんだけど。。書いている内容が面白くないかというとそんなことはないのが悔しいところ。3人の中で個人的に一番気になったのは森もり子さん。

「メタな視点に立つ」(自分の発言をかっこに入れるとか、そういう話法)のは、感じ悪く(≒上から目線に)受け取られてしまいがち。メタな視点に立ちつつ、読者に共感させるっていうのが、森もり子さんの技術なんだぁ。っていうことに佐渡島さんが引用したツイートで思わされた。タイムラインで見たら「いいね!」したくなるようなツイートばっかり!

「明日、ってか今日仕事行きたくないな〜、体調不良って言って休もうかな〜、いやダメか〜」これはよくあるツイートだから、よくあるツイートとして出す。(これも「いやダメか~」まで入れてるのは意外とすごいかもしれないと書いていて思った)

でも「同性だから分かり合えるなんてのは傲慢だし、異性だから分かり合えないなんてのは怠慢だと思う」これは自分の言葉としてベタに(地の文で)発言する。

発言の内容に応じて、メタに発言すべきかベタに発言すべきか、どっちがより効果的かっていうことの判断が正確なんだと思う。

 

【加藤さん評】

選んだ本もそうだし、KPIとかWelqとか、ビジネスっぽい話し方を茶化しつつ、全編通じて冗談を書いている。書いてる本人が楽しみながら書いたんだなぁっていうことが伝わってきて、読んでても楽しかった。

しかも、その中で繰り出されるキラーフレーズ。「コンテンツをつくるというのは、人間の感情を、言語などで形にして、作品に仕上げるということ」。はい来た。加藤さんが扱っているのは、「人間の感情」です。ドン!

自分がこうやって文章を書いたりしているときに、人間の感情を扱っている。作品にしようとしている。という意識が欠けている。ことを思わされた。

プログラミングを学ぶことが、人間の感情を考えることと地続きになっている。そんなことを意識しながら数学を学ぶピースオブケイクの人たち。応援したくなりました。

第3回 コルク佐渡島、note加藤のコンテンツ会議

マンガ家と読者の新しい繋がりを作ろうとしている会社コルクの代表 佐渡島さんと、個人が作品を発表・課金出来る仕組みを作るnoteの代表 加藤さんが週一でオススメ作品を紹介して、pv数勝負する企画の第3回

 

作家は主人公を殺して、自分が生き延びる|佐渡島庸平|note

『三四郎』と、もう一冊の上京物語|加藤貞顕|note

 

 

どっちも面白かった。でも、個人的には佐渡島さんの勝ち!佐渡島さんの方が、自分のことをさらけ出していて、心を揺さぶられるものがあった。

読む前に佐渡島さんが「二人とも同じ人を浮かべながら書いた」みたいなコメントをしていたので、二人とも事故死してしまった雨宮まみさんのことを思い浮かべながら作品評をしたんだなぁと思いながら読んだ。

佐渡時さん評】

「ドーン」、「空白を満たしなさい」が、平野さん自身のことを書いた話だ、ということを知ったのが一番の衝撃だった。小説は、作者を反映せざるを得ないものだけれど、編集者である佐渡島さんからの「なぜ、平野さんは生きてられるのか?どういう風に心の中がなっているのか?それを次の小説では書いてほしい」というお願いを受けて作られた作品だっていうのは衝撃だった。

順風満帆に見える作家生活を送っている平野さんも、自分の実存の問題と戦っている。(だから表現者になったんだよ。と言われればそれまでだけど)そんな当たり前のことを突きつけられて、あぁそうかぁと思った。

マチネの終わりにを表現者の40歳問題として読む、という話なんかは、アスリートの引退について話す為末さんとつながるところがあって、平野さん×為末さんの対談なんか面白そうだなぁと思った。雨宮さんもちょうど40歳。自分は作品を読んだことはないので、作品を読んでから、改めて死を悼みたいと思いました。

 

【加藤さん評】
すごいと思ったのは、ここ。全体の内容を一言でまとめると、自意識過剰な青年が大都会・東京で居場所を探す物語、ということになる。自分がこれから本を読んだとき、一言でいうとどういう話かを、他人に伝えられるようにしたい。

しかも、その要約に繋げて、三四郎が傑作になった理由を、国も、著者も、もちろん読者も、すべてが居場所を探していた。だからこんな傑作が生まれたのだと思う。とまとめる。

その視野の拡げ方が、なかなか真似できないと思ったし、ポッとこういうことが書ける蓄積の仕方にあこがれる。自分も精進します。

 

文章の作り方は加藤さんの方が上手いと思ったけど、平野作品の読者でもある自分にとっては佐渡島さんの作品評の方が響くところがあったので、今回は佐渡島さんの勝ち!

フィードバック【為末ブログリアクション記事】

為末さんの考えたことを、自分の言葉で考え直す記事。
元記事はコチラ
http://tamesue.jp/blog/archives/think/フィードバック

為末ブログ【要約】

フィードバックを受けて修正する、ということが変化するのに必要な要素。(陸上競技では、コーチがその役割を果たす。)
フィードバックが活かされない人の2類型 プライドが高い人、ビジョンがない人。

プライドが高い人はフィードバックが機能しない。現在の自分を認める余裕がないため、現在の自分とあるべき自分の違いが浮き上がらせるフィードバックを拒絶する。

ビジョンがない人は、成長を求めていないため、フィードバックを必要としていない。自分を変えることはストレスを伴うので、変わらない。

【要約終わり】


為末さんが考えている成長に必要な要素は以下の4つ。
1.あるべき自分を描くビジョン
2.現在の自分を認める余裕
3.あるべき自分と現在の自分のギャップを適切に把握するためのフィードバック
4.ギャップを埋める作業


 これを自分に当てはめてみると、大変まずいことになってる。自分は10年後にどうなっていたいかというビジョンもなければ、現在の自分の仕事ぶりに不満を抱え、くすぶるばかりで受け入れられていない。ビジョンがないから当然ギャップも見当たらず、やることに欠いてブログを始めた。。
 仕事じゃないところで、(例えばこのブログを10年後どうしたいか、とか)何かこうしたい‼ってビジョンを持たないと楽しい人生にはならないぞ…
ブログにビジョンを設定した場合、ブログへのフィードバックはアクセス解析による分析になるんだろうか。いずれにせよ、黙ってても誰かに適切なフィードバックを得られる機会は多くないだろうから、目的に照らして自分でフィードバックサイクルを回せるようにならないといけないわけだ。
 ギャップを埋める作業は、ブログを書き続けること。ブログの質を高め続けることなんだろう。自分にとって本当に大事なことについては、この4つを揃えよう。さて、本当に大事なことって何なんだろう…


 為末さんに質問する機会があったら、株式会社侍のビジョンを聞いてみたい。そして、何をフィードバックとして行動を変えているのかも。


じゃ、そういうことで(・c_・`)